自分たちで自由に創る」という先端的なエンジニアリングデザインです。2010年から、理想の教育を実現するための時間を作ることと、先端技術の力を使って、教育の形を変えるために、教育のICT化を進めました。代表的な教育のICT化では、2014年からiPadを導入し、2019年に「黒板の無い教室」で、全ての普通教室から黒板を無くし、完全ICT化を全授業で達成しました。並行して、2015年には、創造性と起業家精神を育む、中高6年間の独自授業「創造性教育」を立ち上げ、2023年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰をいただくことができました。その効果もあり、2021年度の大学入試改革初年度には、総合型選抜で前年までのAO入試に対して4倍の合格実績を記録することができ、直近の2024年度大学入試でも、新型入試での「驚異的」と言われる強さは続き、受験生の87%が12月までの年内に難関国立大学を含めて合格、進路を決めることができています。何より嬉しいのは、これが毎年約90%の生徒の授業満足度と、日々、楽しそうに笑顔で過ごしている学校生活と両立できていることです。こうした教育を受けた卒業生が、「創る」という意識と能力を持って挑んだ結果、大学での学びも豊かにし、その後の就職活動を経て、やりたい仕事を手にできていると知らせを受けています。中には大学教員を目指すと明言する卒業生もいて、私たちの教育を受けた生徒たちが、日本をより元気にしてくれる日も近いと感じています。理事・副校長山口 龍介東京工業大学大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻にて、ロボット工学の世界的研究者の廣瀬茂男教授に師事文部科学省 大学教育支援プログラムGP旧帝大東工大8大学工学系コアリッションフォーラム平成19年度 東大・東工大合同拠点博士課程学生交流セミナー学生幹事団 代表博士後期課程在籍中の2010年に着任創立者山口さとるのひ孫16「日本の大学は、世界から遅れている」と言われ、海外のトップ大学に進学する生徒が現れ始めた2010年頃、世界のトップ大学に返り咲くための大学の大改革が始まりました。ちょうどこの時期、私は東京工業大学の博士課程でロボット創造学の研究をしていました。幸いなことに、大学改革に深く関わる機会があり、世界中から集まった仲間や大学の先生、企業の方と話す中で、研究開発で、日本の若者は、欧米のエリートと互角以上の実力を持っており、遅れをとっているのは、習っていない、トレーニングされていない能力の部分だけ、つまり、大学を含めて学校が用意しているトレーニングプログラムの違いのみである、と言うことがわかりました。当時からすでにアメリカを中心に先端大学では、「実社会に有用なものを創る」というエンジニアリングデザインの考え方に、移行していたのです。どうしたら日本の大学をもう一度、世界トップに持っていけるだろうか、と大学の先生たちと議論する中で、もう一つの解決すべき課題が明らかになりました。その大学教育と中高の教育との繋がりが薄く、多くの優秀な中高生たちに、日本が国際社会に対して強い競争力を持っている分野、何より、実社会に直結した、ものすごく面白いエンジニアリングの魅力、存在が伝わっていないということです。特に実社会がその分野の能力を持った女性を求めているにも関わらず、伝わっていないのです。これを解決するには中高の教育を変えた方が良いと考えていた2010年に、私は瀧野川女子学園に加わり、全ての教育活動を、実社会につながる実践的な学びへと変えました。 鍵となるのは、創造性と起業家精神、そして「欲しいものは世界で活躍する鍵となるエンジニアリングデザイン
元のページ ../index.html#17