学園にある“ 生活即教育” という言葉には、生活そのものが学びだという意味と、自らの生活に関わる様々な物事を学ぶという意味があります。寮では衣食住に関するたくさんの知識や経験を得て、学校行事では多くの人と協力をする経験を積むことができました。現在勤務する宿泊施設では、100名を超えるチームに属し、フロント、客室清掃から飲食物の提供、お客様の滞在を演出するポジションまで、幅広い業務を担っています。学園での経験があるからこそ、多くのメンバーとひとつの目標に向かって協力し、より良いサービスを模索することができていると感じ、とても感謝しています。現在は、1年間の休職制度を使ってカナダにスキー留学中です。清風寮で6年間過ごしました。中1の頃は不安や寂しさを感じましたが、何気ない会話、同級生や上下級生との関わりなど、生活を共にする中で寮生たちが家族のような存在となり、楽しんで寮生活を送ることができました。自由学園では学校や寮で生徒が主体となります。そうした日々を通して、本質を問い、自ら考え、行動する力を養うことができ、大学での勉強や日常生活の中で自分自身や物事と誠実に向き合うことができたと思います。現在は、看護師・保健師の資格を生かし、関わる人がその人なりの生活や健康を営むことに貢献できるよう業務に従事しています。最も心に残っているのは、中3から高3まで参加した東北支援です。高3の時は支援の係に就き、東北震災、熊本震災ボランティアを自分たちで計画・実行しました。自分たちがやりたいことと被災地が求めていることは異なる場合が多く、第三者の視点で何が大切かを考え抜く重要性を学びました。そして僕たちは一人では生きていけない時があり、心の繋がりを通して人は痛みを分かち合い、助け合うのだと考えるようになりました。英語の授業や留学生との交流が、海外大学進学のきっかけとなりました。自由学園は僕にとって人格の基盤となる場所でした。人、特に子どもにとって水は時に命をも脅かすものです。しかし管理されたプールから、苦労しつつも泳げるようになれば、危険だった川や海ですら楽しめるようになり、自らの世界がひとつ拓ける。快適に座して育てば風邪や怪我に泣くことはないけれど、自分中心には回らない社会で逆境も超え、逞しく楽しく自分を生られる力を育むのはむしろ、日々多様な課題と対峙し苦楽しつつ学友と必死に生きた経験だったと今確信しています。座学では溺れずとも泳げず。プール監視員さながら常に見守り、導きつつも自治自学を尊重して頂いた学園に大変感謝しています。自由学園 中等部・高等部 School Guide 202517増田沙紋2011年度卒業/ 自由学園最高学部卒業/ 東京大学大学院 総合文化研究科国際社会科学専攻博士前期課程修了/㈱星野リゾート・マネジメント生活即教育、ここで得た知識や経験が今に生きています。偏差値や社会的価値に捉われず物事や人間関係を考える力が養われました。伊藤香菜子2015年度卒業/日本赤十字豊田看護大学看護学部卒業看護師・保健師松島直輝2016年度卒業/ニューヨーク州立大学ニューバルツ校 国際関係学部修了国際連合職員西村直人2012年度卒業/ 九州大学卒業(株)糸島ジビエ研究所 代表取締役/捌師(ハチシ)自分の生き方を自分で決める。そのための基盤を作ってくれました。学園生活は、いわば人生におけるプールのような場所でした。自由学園100人の卒業生+高橋前学園長による自由学園卒業生インタビュー 特設サイト自由学園で育った卒業生たちの活躍の場は実にさまざま。既成の枠にとらわれることなく、創造的に生きる力を養ってきた彼・彼女たちは、個性豊かにイキイキと自分らしい道を歩んでいます。その一端を是非感じ取ってみてください。 の活躍の場も多種多様
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