自由学園中等部・高等部|デジタルパンフレット
24/28

24自由学園 中等部・高等部 School Guide 2025創立者 羽仁もと子・羽仁吉一食事の準備(1930年)いのち自由学園 高等部 部長佐藤 史伸 (さとう しのぶ)「学校」だけが学ぶ場ではない自由学園の創立者は羽仁もと子、吉一夫妻です。二人はそれぞれの青年時代にキリスト教に出会い、クリスチャンによる婦人運動や社会改革に関心を抱き、新聞記者となりました。もと子と吉一は、人格的な愛に根差した結婚を選びとり、従来の「家」から独立した新しい家庭建設を志します。「新しい生活」に実際に必要な衣食住や生き方をテーマとする雑誌『家庭之友』(1903年)や『婦人之友』(1908年)を創刊。独立して出版社・婦人之友社を興しました(1909年)。羽仁夫妻が仕事を始めた頃の女性の教育機会は限られており、社会的立場は弱いものでした。羽仁夫妻は様々な境遇にある女性たちの悩みや願いを聞きとりながら、彼女たちが「自分の生」の尊さを重んじ、主体的に生きることを深く励ましました。学校以外の場所でも「自分で」学びつづけることや、女性が社会のなかで仲間をつくることも呼びかけました(後に全国友の会として発足)。このように広い意味での教育への関心から、やがて新しい学校「自由学園」が誕生するのです(1921年)。新しい「生活」の経験創立者は、学校での様々な学びで特に重要なのは、新しい意味での「生活」を経験することだと考えました。羽仁もと子はそれを「自分の生を経営」する学びと表現しました。つまり、自分自身が生きることの主体、経営者になるということです。学校は単に知識や常識を詰め込む場所ではありません。自分の手と頭と心を使って「生活」を創りだしていく「生活即教育」は、自分自身の独立した考えと、他の人との協力という両方が必要です。この経験を積み重ねることを通じて、生徒たちがより広い社会に対する真剣な興味を育み、理想を抱き、良い社会を創りだす人に成長する―― 羽仁もと子は1932年の講演で「学校は単に社会に人材を送り出すところであるという思いにかえて、教育は新社会をつくるものであるという信念を打ち建ててゆきたい」と力強く語りました。この志を、現代の私たち自由学園は引き継いでいます。生きることは「しつつ」の中に「自分の生を経営」する日々の学びのなかで、私たちは「自分の生」を大切にすることにも、他者の生を大切に共に生きていくことにも、しばしば失敗し、自信をなくして悩みます。羽仁もと子は、「思想しつつ 生活しつつ」歩んできたつもりの自らの人生に、常に神を慕い求める「祈りつつ」があったことを見いだし、「思想しつつ生活しつつそれよりもなお祈り求めつつ」生きていく幸いを人々に語りました(1927年)。生きることはまさに「しつつ」のなかにあります。毎朝の礼拝から始まる自由学園の生活は、生の創り主である神が一人ひとりを愛しておられること、それゆえに私たちが互いに愛し合うべきことに目を開かせてくれるでしょう。あなたが自由学園で過ごす全ての時間は、あなたがどう生きるかにつながっていきます。自分の生を本当に活かすための学びを、共に創りだしていきましょう。「自分の生を経営する」学びから始めようJiyu Gakuen since 1921

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る